800km歩いたら許してくれますか?

2016年、21歳の女子大生がカミーノデサンティアゴフランス人の道を踏破したお話です。

20日目、欲望渦巻くレオン

 

つ〜い〜に〜

 

レオンについたああああ!!!!!

ふぅううううう!!!!

 

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レオンを代表する大聖堂を目の前にしたときの感動と言ったら…(涙)

ようやくたどり着いたでビッグシティ!!!!

 

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と、めちゃくちゃ盛り上がってますが、まだまだ旅の途中でした(笑)

でも、知らん間に残り半分を切ってます!!

情報が不足しすぎて、あと何キロ歩けばいいのか全くわかってないけど!!!

 

 

なんと、ブルゴスに続きレオンでもタイミングよくフェスティバルに遭遇。 

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 たいへんな人混みです。大通りだけでなく、小さな裏路地にまで屋台が並び、すごい活気!

やっぱりステキやわ、スペインのフェスティバル!!

 

さてさて私たち巡礼者も、洗濯とシャワーを済ませたら街に繰り出しますよ〜。

 

ず〜っと何もない田舎道を歩いてきた我らにとって、この活気溢れるたべものの屋台たちほど魅力的なものはありません。

 

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なんておいしそうなお肉なのかしら!!

 

もはや私に"巡礼者"なんて神聖な表現はまったく似合いません。

欲望の化身です。食欲の権化です。

 

ということで、本日の宿で一緒になった仲間たちと、何軒も屋台をハシゴし、飲んで食べて踊って、大変盛り上がる夜となりました。

あ〜幸せ。

 

 

 

さてさて話は変わりますが、アルベルゲには放出品箱というのがあります。巡礼中、必要なくなったもの、重くてもう持っていけないものを置いていく箱ですね。(反対に必要なものは、そこから頂くこともできます。)

 

今日のアルベルゲの放出品箱には、いらなくなった"モノ"以外にも色んな"気持ち"が捨ててありました。

 

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箱の上のイラスト付き看板には、

"あなたの重荷になるものは、ここに捨てていきなさい"

...と書いてあります(訳にあんま自信ないけど)

 

そしてその下の青い文字たちは、巡礼者のいらなくなった、捨てたい気持ちですね。

悲しみ、怒り、罪、イラだち、鬱、限界…

 

そして、1番大きく書かれた"Miedos"とは、"恐れ"です。

 

日の出前の暗闇も、ずっと1人の荒野も、ヘビや野犬の潜む森も、恐れずに進まなければならない。

そんな巡礼者の気持ちがすごく感じられました。

私もここで捨てとくわ、恐れ。

 

 

 

残りも僅か…ではないけど、少なくなってきました。

恐れずに、ここから先も進んでいけますように。

いや、進んでいきます。

 

 

18・19日目、街を夢みる

 

最近鏡をみて思い出すのはブラックジャック。何故ならいま私の顔は左右で色が違うからさ!!!

 

巡礼者は日中、常に同じ方向に向かって歩きますので、必然的に毎日左半身だけ日光直撃です。右腕と左腕、違う人間の腕みたいになってます(笑)

 

20日近く歩いてきて、今の所一番大きい変化はこれやな。

 

私は特に、キリスト教に目覚めた!!とか、スピリチュアルな考え方をするようになった!!なんていう内面的変化は感じないんですが、肉体的変化がやばいです。これは確かに、歩き終わったら別人に生まれ変わるというのもうなずけます。見た目が。

 

出発当時、あんなに重くて辛かったバックパックはもはや友達。難なく担いで歩けるように。

大嫌いで部屋にいるだけでも大騒ぎしてたハエも、いまや足に止まってようが問題なし。

最初の頃はビビりまくってたヘビやネズミも、もはや跨いで歩けるレベルに。

 

…どんどん野生化してますわ、私。

こんな21歳女子、どうですかね?(笑)

 

 

さてさて、このところは黙々と次の都市レオンに向かって歩いてるんですが、噂に聞いてた通り、この区間はほんとにきつい!!

別に厳しい登山ルートがあるとかじゃないんです。

むしろ逆。何もないんです!!!!

休憩できるようなバルどころか、村さえなかなか見つかりません。ネットもなかなかつながりません。(笑)

 

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 ただひたすら、広い空と果てしない道があるだけ。

景色がすごく単調で、ひたすら空の変化を観察するだけが楽しみです。

 

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夜明け前

 

 

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明るくなってきた!

 

 

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日の出や!!!

 

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あ、曇ってきた!!

 

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あ、また晴れてきた!!

 

 

…という感じです。

いや、しんどいわこれ(笑)

 

ひたすら、レオンに着いたら食べれるであろうllaollaoのアイスクリームや、マクドのハンバーガーや、メルカドーナの美味しいサラダのことなんかを考えて歩きます。

野生化していく体と裏腹に、心は恐ろしいほど街に惹きつけられてます。

 

あと120キロ…90キロ…60…40…

 

そしてついに、今日歩いた分で、レオンまで残り18キロ!!!!!

やったーーー!!!明日には街に着くで!!!!

と、ウキウキの夜を過ごしてます今。

ここまで長かった〜!

 

 

でもそんなしんどい区間を歩きながらも、いくつか嬉しいこともありました。

 

道中、フランスで同じ宿に泊まってた女性と再会!ちょっとおしゃべりしたんですが、彼女に、

「あなた、フランスで会った時は毛ほども英語しゃべれなかったのに、随分上手になったわね!!すごい!!」

とお褒めいただいたり、

 

アルベルゲで開催されたチェス大会で、本場ヨーロッパの紳士達をボコボコにできたり、

 

ユーランという、とっても面白い韓国人の女の子と仲良くなったり。(彼女も1人で歩いてる)

 

 

巡礼路を歩いてると、時間は本当に前にしか流れないのだ、と身をもって実感します。

別れた仲間を懐かしみながらも、新しい仲間と共に歩く。

一瞬一瞬、確実に目的地に近づいてて、後戻りすることは決してない。

常に明日のことを考えて生きてます。

そういう日々を、ここでは過ごすことができます。

 

 

ということで明日も歩くで〜。

街で私を待ってるアイスクリームのために。

17日目、心のせまさ

自分でもここまで日記いや、ブログが続いてることにびっくりです。なんせ飽き性なんで。

ひとえにみなさまの応援のおかげ…

 

と言いたいところなんですが、1日のノルマを歩き終わったらすることなくてめちゃくちゃ暇やから書いてるというのが本音です!!あ、言っちゃった!

 

あとやっぱり、どこかに記録しておかないとどんどん忘れていくと思うので。

 

 

ということで今日も更新するで〜。

現在スペインは夜9時をまわったとこです。

今日はカリオンからの出発。全27キロの行程。

そのうち前半16キロは、村も休憩所もない閑散とした地帯となってまして、

あ〜これはあれやな、1人で色々考えながら黙々と進む道やな、修行やな、

と思ってたんですね。

 

ところがどっこい

 

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この人の多さよ!!!(いや写真では伝わらんか!)

 

前後50メートルにスペイン人おじちゃんおばちゃんのグループが大量に。

それがどこまでも続いてます。

これではトイレ(野外)もままならない!!

 

おいおい昨日まであんなに人おらんかったのに一体どこから出てきたん!?

て感じです。

 

まぁでも、たくさん人がいると安心するのも事実で、私も目的地に向かって後を追って行きました。

 

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バルもこんなに人がいっぱいです。

遠足かな!!?

 

 

 

しかし、問題は宿やねんな。

これだけ途端に人が増えると、小さな村のアルベルゲには当然収まりきりません。

 

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アルベルゲ受付は長蛇の列です。

私も重いリュックを背負ったまま並びます。

 

おばちゃんたちは、なんと90人越えのグループ。ツアーみたいなんで来てるんですね。

 

彼らの手続きを待つこと数十分、ようやく私の番が回ってきました〜。

 

受付のおばさん 「よかったわね!あなた幸運よ!最後の1つのベッドよ!」

 

お…おお〜…

 

よかった…。

 

幸運にも私は、ぎりぎりでベッドを勝ち取ったようなのですが、私がシャワーを浴びて出てくる頃、アルベルゲ入り口には人だかりが。

 

受付のおばさん

「ごめんなさいね、今日は団体が入ってるから、もうベッドは残ってないの!次の町へ行ってちょうだい!」

 

溢れた巡礼者たちは、重いリュックを背に次の町まで4キロ、更に歩かなければなりません。みんな絶望の表情です。

 

 

これは、ブルゴスでアルベルゲがいっぱいだった日と同じです。(私も途方に暮れました。)

 

私たち巡礼者は、基本的に重いリュックを背負い、1日何十キロも自分の足で歩きます。

 

でも、巡礼路には色んな人達がいて、バスやタクシーを使って巡礼する人もいれば、今日のグループのおばちゃん達のように、リュックのタクシーサービス(荷物を目的地まで車で運んでくれる、ので最小限の荷物で歩ける)を利用する人もいます。

そして、そういう人は必然的に他の巡礼者よりも早く、目的地に着くことができるんですね。

 

ブルゴスでミケルが言ってた、

「楽して着いた人たちのベッドはあるのに、必死に歩いてやっとの思いで着いた僕たちのベッドがないなんておかしいよ」

という言葉を思い出しました。

 

そして今日、私もそう思いました。

ブルゴスは大きい街で、他に宿泊施設もあったので、

「まぁええやん!別のところに泊まろうや!」

とポジティブだった私ですが、

今日アルベルゲの入り口で、でっかいリュックを背負って途方に暮れてるお姉さんをみてて、正直、

「自分の荷物も持たずに途中から歩き出して、宿を占領するなんて…どうなん?」

とイライラしてしまいました。(正直ね!)

 

自分でも、うわ〜こんなことでイライラするなんて心狭いな!とわかってたんですが、どうしようもありません(笑)

 

部屋に戻ると、私以外はみんなグループのおじちゃんおばちゃん。ワイワイ楽しそう…

そして、唯一の外国人である私に、陽気にしゃべりかけてきます。

 

どこから来たの?1人?何歳?どこまで行くの?毎日何キロ歩いてる?明日はどの街に泊まる?

 

日本から。1人。21歳。サンティアゴまで。25キロか30キロぐらい。明日の町はまだ決めてない。

 

疲れと、ちょっとした苛立ちからそっけなく答えたのですが、おじちゃんたちは構わずしゃべり続けます。

 

まだ決めてないの?ならこの街がいいよ、オススメだよ。僕たちはカディスから来てるんだ、グループで。今日が初日で1週間だけ。たくさんは歩けないけど、ちょっとずつね。リュックのタクシーサービスがあるから、この歳でも挑戦できるんだ。お互い頑張ろうね。

 

なんて。

話を聞いてるうちに、

あぁ、私ってほんまになんて心狭いんやろう。小さいことでイライラして。

と思いました。

 

巡礼路は、誰にでも開かれた道で、だからこそキリスト教徒でない私も歩けてる。

それと同様に、乗り物を使う人がいても、リュックのタクシーサービスを使うグループがあっても、それはそれでいいんやな、それって他の人がとやかく言うことじゃないな、って思いました。

当事者には当事者の事情があるんやから。何も知らない私が、勝手にイライラするのはよくないよな、と気づきました。(当たり前のことやねんけどな!)

 

重い荷物を背負って、やっとの思いでたどり着いた巡礼者に宿がないのは悲しいことやけど、

だからといってこのおじちゃんたちが、バスを使って巡礼する人たちが、悪いかといったら決してそうじゃない。

歩き方は違うけど、この道に挑戦したいと思ってきてるんやから、それをお互い尊重して、応援しあうべきやな、と。

 

人の事情ってそれぞれで、他人にはわからないから勝手にイライラしたり、怒ったりしちゃうよね〜。(笑)

そういうの、やめよう!…やめるのは無理でも気をつけよう!

と思う1日なのでした。

 

 

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もっと器の大きい人間になりた〜い

と思いながら本日の夕日と一枚。

 

なんかポーズがダサいな!!?

16日目、ミサに行ってみた

 

今日はフロミスタから19キロ、カリオンという町まで歩きました。

 

あれ?短くね?

と思ってると思います。私も思ってます。

が、"次の町まで16キロ、その間何もないよ!"と言われたのでここでストップすることに。

あした、地獄のスタートを切りたいと思います…。

 

 

相変わらず火星探索中(荒野に1人)でして、人恋しいところ、一軒のバルを発見。

しかもテラス席に人が!

 

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こんにちは〜!

 

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と近づいていったら

 

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…怖っ!!!!!

 

マネキンでした!!(ハエたたき持ってる!!)

 

 

しかもあたりを見回すといっぱいいます。

 

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怖えええぇえなんじゃここ!!!!

 

…まぁそれでも寒い中歩いてきた体に、あったかいコーヒーは嬉しかったです。

 

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ちなみにマネキンの他にアヒル?ガチョウ?もたくさんいました…

(しかもこいつら寄ってきて、私噛まれた。)

 

 

 

 

 

そんなお昼の奇妙体験はさておき、今日は夜、教会のミサに参加してきました。

 

というのも、本日のアルベルゲは教会運営のようで、シスターさんたちにぜひミサに参加するといいよと勧められたんですね。

私、無神論者やけどいいの?って言ったんですが、問題ないとのことで行ってきました〜。

 

大きくてきれいな教会でした。

写真がなくて残念。(撮っていいんかわからんかった)

 

1時間ぐらいのミサやったんですが、慣例のわかってない私は終始オタオタ…(笑)

 

それでもいい体験になりました。

ペレグリーノ(巡礼者)の為だけに祈ってくれる時間もあったり。

 

"あなたがサンティアゴに着くまで、神がきっとついていてくれます。"

というようなことを私の額に十字を切りながら唱えてくださいました。

宗教観のない私でも、なんだか素敵な気持ちになりました〜。

 

 

ミサの最後に、シスターの1人がギターを弾き語りするというイベントがあったんですが、これって普通なんかな?(笑)

 

とにかくそれがめちゃくちゃ上手くて、声もめっちゃきれいで感動でした。

 

私もやっぱりギター練習しよう。と心に決めた夜となりました。(宗教観は芽生えなかった。)

 

 

 

さて、

このブログを読んでくださってる方で、もしカミーノデサンティアゴについての質問があればできる範囲でお答えしようと思います!

まだまだ日本語でのカミーノ情報は少ないようなので…。

もし、ちょっと興味あるな、行ってみたいけどよくわからんな、という人がいたらコメントでも、Twitterでも、

知ってる人はLINEでも、気軽に質問してください。旅の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです!

(そんな人おるんかい、と思ってるけど)

 

ではでは、また明日〜。

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15日目、ワトニーの気分です。

 

今日も歩きました〜。もうなんか、面白い出だしも思いつかないぐらいひたすら歩いてるだけですね最近は。

 

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 相変わらず夜明けだけはほんまにきれいです。

みなさんお気づきでしょうが、この日の出の写真を撮るのが最近の私の趣味です。地味な趣味やわ…

 

 

本日はカストロヘリスからフロミスタまで、26キロの行程でした。

 

噂に聞いてた通り、ブルゴスを出てからは厳しい区間が続きます。

というのも、なんもないんですね!!!ほんとに!!!!

 

 

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火星かここは!!!!

 

 

今年ヒットした映画"オデッセイ"を彷彿させる何もなさと孤独感です。

(いやあれよりはマシやけども!!!)

 

 

これがずーっと1日中続きます。

実際は若干の景色の変化はあるんですけど

  

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こんな感じとか

 

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こんな感じとか

 

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こんな感じとか

 

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こんな感じとか

 

 

 

…いや火星か!!!!!!

 

 

地球上に、しかも先進国スペインに、こんなに何もない大地が残っているとは知りませんでした。

果てしないです。いつ町に戻れるんでしょうか私。

 

 

 

まぁでも一応今日も、小さな町にたどり着きましてそこに滞在中です。

 

 

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これはアルベルゲの靴箱の写真なんですが、私のは下の段右から2番目のピンクです。

 

フランスを出発した時は、私の登山靴だけが新品ピカピカで目立ってたもんですが、最近ではもう他の巡礼者の靴と遜色ないように思います。

泥だらけでボロボロです。

ついでに、足もマメだらけでボロボロです。痛いです。

 

でもこれこそが自分が自分の力で歩いてきた証明やな、と感じます!

 

 

私は、努力は必ず報われるとは思いません。

努力して努力して努力してもダメな時はダメやし、世の中結果こそが大事なことが多いです。

試験も、試合もなくて、努力した分がそのまま結果になることって、なかなかないですよね。

でもここでは1歩でも進めばそれがそのまま結果につながる。

歩き続けてれば、必ずゴールに着く。

すごいシンプルでわかりやすいです。

少しずつやけど、確実に目的地に近づいてます。

 

 

 

ということで、

まだ半分以上残ってるけど、あしたも地道に進んでいきまっせ〜。

14日目、恐怖の8キロメートル

 

どうもこんばんは!

現在スペインは夜8時をまわったところです。

 

今日はロベなんちゃら(名前が長くて覚えられへん)という小さい村から、カストロヘリスまで、30キロの長距離でした。

昨日さぼったから、その分歩いたんや〜。

 

 

それにしても…

今日は巡礼始まって以来もっとも恐ろしい朝であったと思います…

 

 

朝7時、宿を出ました。

ロベなんちゃらかんちゃらの村には人影なし、街灯なし。スペインの夜明けはとても遅いのでほんとに真っ暗。まだ大量の星がキラキラしてます。

少々マヌケですが、頭にヘッドライトを装着して出発です。

 

ヘッドライトの光だけを頼りに、村から500メートルほど歩いた頃、

 

 

ガサガサガサ…WAOooN!!!

茂みからついに出ました、野犬!!!!!!

しかもシェパード!!!!!

こないだのチワワみたいなやつじゃなくてガチのやつ!!!!!

暗闇で一対一!!!!

めっちゃこっち見てる!!!

 

 

あかんこれは死ぬ!!!!!

と本能が叫びました〜。

 

ドーベルマンとも戦えるわ〜

とか言うてたけど、

いや全然ムリ!!!!!野犬なめてた!!!!めっちゃ怖いやん!!!

 

て感じです。半泣きです。

 

でも走って逃げたりしたら追いかけられるのは目に見えてます。そして確実に走り負けます。噛まれるというか、噛み殺されそうです。

ということで、背を向けないようにしながら、そろ〜りそろりと後退。

100メートルほど離れたところで、小走りで村まで引き返しました…

 

 

 

さて、ここからが問題なわけです。

村に戻ったって人影はありません。相変わらず真っ暗です。

こんな異国のどこぞの村で、暗闇の中一人ぼっち…そんなことある??

 

 

どうする?進もうか?

次の町まで8キロもあるのに1人で?

 

じゃあ誰か来るのを待つ?

いつ来るかもわからない他の巡礼者を?

 

 

 

 

よし…(トレッキングポールを右手に装備。)

 

ここでオタオタしててもしょうがないので、勇気を振り絞って進むことにしました。

いやこれ、まじで想像してるより怖いから。暗闇と野犬のコラボレーションやから。

 

 

"もし私を襲ったら、これでお前をぶっ刺すからな!!!"

という念を込め、ポールを構えて先ほどのシェパードを睨みつけながら静かに静かに、彼の2メートル横ぐらいを通過します。

 

 

よくみたら首輪ついてました。

 

…いや放し飼いにすんなよ!!!!激怒

 

 

さらになんとか逃げ切ったと思ったら、また前方の茂みがガサガサ!!!

この暗闇の中、茂みのガサガサの恐怖はすごいです。ほんとに怖い。しかも1人。

 

 

そしてまた新しい大型野犬(?)が登場。

 

 

しかもこっちに向かって走ってくる!!!!

 

あ〜ムリ襲われる!!!!

でも巡礼者が野犬に襲われて死んだなんてニュースは聞かへんから、もう噛まれるぐらい我慢しよう…

 

という覚悟で棒立ちしてたら(完全に戦意喪失)、私の横を通り過ぎてシェパードの方へ…

 

あぁ…私目当てじゃなかったのね…

 

 

 

 

というわけで何とか2匹の野犬をかわし、先に進みます。

しかし依然として行く道は真っ暗闇。

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これ、今日の朝7時の巡礼路の写真です。バグじゃないよ。

 

 

茂みがガサガサ言うたびにポールを手に臨戦態勢。緊張状態。 

満点の星空なんですが、そんなん見てる余裕は全くありません。ええからはよ太陽出てくれ。

 

さらに完全に恐怖のスイッチが入ってしまって、どんどん恐ろしい想像ばかりが膨らみます。

 

な…なんか出たらどうしよう…(人じゃないやつ)

 

これはもう考え始めると終わりですね。

負の連鎖です。

 

闇に浮かび上がる木の影が人(生きてないやつ)に見えたりしだします。

 

う…後ろに誰か(生きてないやつ)おったらどうしよう…

 

とか考えると、立ち止まって靴紐を結び直すこともできません。

だって怖いねんほんまに!!!!

 

世界最長のお化け屋敷としてギネスブックに乗ったこともある、"戦慄迷宮"が900メートルです。

 

いや8キロて!!!!!?

 

 

 

怖さを紛らわすために、大きな声で会話しよう!!!!

1人やけど!!!

 

私「朝ごはん、何食べる?」

私「次の町においしいクロワッサンあるといいな〜食べたいわ〜」

誰か「ワタシモ…タベタイ…」

 

ぎゃあああああああああ

 

とか考えて1人でパニックです。

もう何してもあかん…

 

 

いや!!この暗闇を、しかも野犬の出る山道を1人で歩ける勇気のあるやつなんか滅多におらん!!!すごいで自分!!!すごい勇敢やでいま!!!
と必死に自分を励ましながら進みます。

寒いし怖いしお腹減ったし、まさに地獄です。

 

 

…ということで10キロのリュックを背負ってるにもかかわらず、次の町までの8キロメートルの山道を1時間ちょいで歩ききりました。

歩いたというかほぼ小走りでした。

 

 

私はもともとビビリな方なんですが、今日ほどビビリまくった日はそうそうないです。

 

巡礼ってやっぱり大変やな…。

 

そんなことを思った1日となりました。

あ…あしたもがんばろう…

 

13日目、そして私はどうする

 

朝、起きたら9時だった…

超久しぶりの怠惰な朝です(笑)

 

アルベルゲと違ってホステルはチェックアウトが遅いので(アルベルゲは8時には出なあかん)、ダラダラ起きて朝ご飯。

 

その後、みんなでドイツ語の勉強したりして、宿を出たのはお昼を過ぎた頃。

 

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(いやなんでドイツ語!?と思ってるのは私だけじゃないはず)

 

 

 

さて、いよいよほんとに別れの時。

ミケルは飛行機でドイツに。ヤーロウは風邪が悪化したのでしばらくブルゴスで休養することに。スーチンはもう1日この街を観光するそう。クリスティアンたちイタリア人は、今日は30キロ進むといって午前に街を出てしまいました。

 

おぉ…どうしよう…

 

午後一番の日差しの中、歩き出す巡礼者は他にいません。

 

それでも私は、今日も進むことに決めました。

遥か彼方のサンティアゴを目指して。

 

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さよならブルゴス!!

 

 

ついに、ほんとに、完全に1人で歩き出さなければならない日が来たようです!!

 

さみしいけど、巡礼ってそういうもんやんなきっと!!!

 

 

 

 

ということで歩きました。12キロだけ。(笑)

ブルゴスから、ロベ・デ・ラス・カルサドスという小さい村まで。

 

ほんとにまったく人に会いませんでした。

大声で歌ってても誰にも聞かれないぐらいひとりぼっちでした。

 

 

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かわいいヒマワリ(萎れてる)に会えました。

 

 

 

夜は村の小さなアルベルゲに、ブラジル人の老夫婦と宿泊。

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 暖かい夕食にご一緒させていただきました。

また新しい出会いです。

こうしてたくさんの人に出会えることが、多くの人を巡礼路に惹きつける魅力の1つだと思います。

 

 

 

その夕食の席で、アルベルゲのママが巡礼路についてのお話を。

 

"巡礼路を毎日毎日何キロも歩いてると、どんどん「自分」が消費されていく。体力も、精神力も。細胞だって入れ替わる。だから、サンティアゴまでたどり着けたら、そのときはもう「別の人間」になってるの。だから全ての罪が許されると言われてるのよ。"

 

 

なるほど、そういう考え方があるんですね。

心に留めておきます、ママ。

 

ということで、今日ははやく寝てまた明日がっつり歩きたいと思います。

おやすみなさーい。