25日目、私を許すのは神ではない。
今日、深い霧の中、険しい山を登ってついにあの地につきました。
そう、"Cruz de Hierro" に。
…いやどこやねん、て感じでしょうね!!
"Cruz de Hierro"とは、カミーノデサンティアゴ終盤、巡礼路で最も標高の高いところに建てられたこの十字架の名前です。
このクロスの下に、自分が持って来た石を積むのが、だいだい巡礼者の習慣です。
(私も重いのを我慢して出発直後から石を持ち歩いてきてたんや〜)
巡礼者の持ち歩いた石は、その人が今までの人生の中で犯してきた罪を表しており、それをここに置くことで捨て去ることができるんだそうです。
仮にこの後に待ち構える難所、セブレイロ山を越えることができなくとも、ここまで自分の足で歩いてきたあなたを、神は許しますよ、というとても重要な地なんですね。
…ということで、私もちゃっかり石を置いてきたわけです。
みなさんもご存知のように、私が巡礼をする理由は、"罪を償って許されるため" です。
詳しくはこちらに↓
別に人生を変えたいとか、自分探しの旅とか、長距離ハイクが好きだ!とかそういうんじゃないんです。
むしろ長い時間歩くのは嫌いなぐらいです。
私は、許されるならなんでもいいんです。
ここで石を積んで、クロスに祈って、それで神様が許してくれるならそれでいいじゃないかと。
わざわざ険しいセブレイロを越えて、まだまだ遠くのサンティアゴを目指す必要があるのかと。
そう思いながら、今日ついに、クロスの足元に立ったわけですが…
うーん、やっぱりあかんわ…
たとえ神様が私を許しても、私はまだ私を許せない…許さない。
私が自分にした約束は、
"サンティアゴ・デ・コンポステーラまで歩ききれたら、あの時の自分を許す。"
ならそれまでは、誰が私を許そうが、それが神だろうが、私にとっては意味がない。
と気づきました。
私を許して、未来へ進むことを認められるのは私だけなんです。神様にはできないんです。
だから明日も歩きます。
歩き終わったら、過去を清算…はできないけど受け入れて、次のステージに進めるように。
そういう新しい私を、私が認められるように。
そんな決意もあらたに、山々を見下ろせるぐらい高いところを歩いたら気持ちが良かった(笑)
24日目、気づけば残りは
さ…さむい…
持ってる服を全部着込んでも寒い今日この頃。
ただいまアルベルゲの暖炉の前で暖まりながらブログを書いております。
巡礼路が11月からオフシーズンとなるのはこの寒さ故ですね〜。(多くのアルベルゲが休業するらしいので、冬に行かれる方は注意!)
来週のセブレイロ登山が心配です。
果たしてウルトラライトダウンだけで何とかなるのか!?
頑張ってくれユニクロ!!信頼のジャパニーズプロダクト!!
さて、本日はアストルガから22キロ、ラバナル・デル・カミーノまで歩きました。
昨日と打って変わって、気持ち良い秋晴れです。
どうやらまた山岳地帯に入ったようで、林の中を登っていきます。もはや林のガサガサ音にも恐れを感じず突き進む、強いハートを手に入れています。まぁ、昼間は大して怖くないよね。
途中ベンチで朝ごはんを食べてたら、ノラ猫に急襲されました。
朝ごはんのフランスパン、持っていかれました。悲しい。
昨日、ユーランと別れたので今日はまたずっと1人。ちょっとさみしい。
まぁでも宿についたら誰かおるやろ〜
と思ってたら
誰もいませんでした!!!
さみしい!!!!
宿併設のバルで食べた、晩御飯のサラダがとてもおいしかったです。
貧乏巡礼者は、パンとかハムとかチーズとか、フランスパンとかフランスパンとか、どうしても持ち運びやすくて腐りにくいものばかり摂取してしまうので、たまに食べる新鮮な野菜のおいしさは格別。
残念ながらスペインでは、日本の"キューピー〇〇〜〜ドレッシング"みたいな贅沢で繊細なお味のドレッシングは殆ど見かけません。
どこで食べても、サラダにはたっぷりのオリーブオイルと塩と酢。
でもこれが意外と美味しくて癖になるんです。
多分、日本に帰ってもやっちゃうと思うわ〜。
さよなら我が愛しのキューピードレッシング…。
そして今日、バルのおばちゃんに、サンティアゴまで残り250キロということを教えていただきました。
はやっ!!!!もう250キロ!!?
というのが正直な感想です。
まぁ24日目やもんな、歩き始めて1ヶ月弱経ってるもんな。
早いなと感じる一方、ピレネーの悪夢はもはや1年ぐらい前のことのように思える、そんな不思議な感じです。
なんか1日をザッと振り返るだけの記事になってもーたわ(笑)これぞ日記やな。
さてさて明日はついに"あの場所"に辿り着く予定。
神聖な気持ちで、挑みたいと思います。
おやすみなさ〜い
23日目、休日
夜中3時、ベッドの上で分厚い寝袋にくるまってるにも関わらず、あまりの寒さに目が覚めました。
持ってる衣服を全部着込んで再度就寝。
かさばって邪魔だった防寒具類、ほんまに捨てなくてよかったー…。
今朝聞いた話によると、気温はなんと3℃だったらしいです!!ひょえー!!
更に今日はあいにくの雨。
巡礼者に傘を持つ余裕はないので、レインコートを着込んで出発です。
完全にモンスターです。
小一時間ほど歩くと、アストルガに到着!!!
カタルーニャが生んだ天才、アントニ・ガウディの司教館がおどろおどろしくそびえ立っております。
そしてなんと私は、あまりの寒さに本日はここでリタイア!!!
総歩行距離4キロ!!!(笑)
おい、甘えんな!!という指摘はうけつけません!!!!
今日は休息日に決定したんや!!!
ということで、ユーランと近日中の再会を誓いあい、お別れ。
巡礼路では仲間意識も大切ですが、個人のペースが最も尊重されます。
止まるも進むも、各々が自分で決めなければなりません。
寒いのもそうなんですが、もう一つ、ここに留まることにした理由が。
なんとここアストルガは、甘党の聖地。
チョコレートとケーキの町なんですね!!
たいして大きくない町ですが、チョコレート屋さんとケーキ屋さんが100メートル間隔でひしめき合ってます。
糖分大好きな私にとっては夢の町。
店頭に並ぶたくさんのチョコレート。
残念ながらこれ以上荷物を増やすわけにはいかないので、小さいものを一つだけ購入。
味は…
まぁ普通のチョコレートやわ(笑)
そしてケーキ屋さん。
とても多いので、どこに入ろうか迷ってしまう。
はぁ〜おいしそう…
結局何軒かハシゴしたんですが、1番美味しかったのはシンプルなこれ。
クリームたっぷりで最高でした〜。
さらに町を探索してると小さな映画館を発見!!(謎に行列してる)
なんと上映してるのは私の大好きな映画、"EL ORFANATO-永遠のこどもたち-"の監督、J.A.Bayonaの最新作!!
あかんこれは観るしかない!!
…ということで今から並びたいと思います。
いや遊んでないで歩けよ!!!
って感じですね。
…自分でも思ってるわ!!(笑)
まぁたまには、巡礼者にも休日があっていいじゃない。
なんて、甘いかな?
明日はまた早く起きて歩くから!!
今日だけ許して〜
な1日でした。
21・22日目、迷う(いや人生にとかそういうかっこいいやつじゃなくて)
きょうの〜わんこ(野生)〜
…でっか!!!!目ぇ怖っ!!!!!
でもお行儀よくて、噛まれなさそうだったので思い切って写真を撮らせていただきました(笑)
ブエンカミーノ、わんこ。
ということで、昨日は後ろ髪引かれながらもレオンを出発、また黙々と荒野をいく1日となりました。
韓国人のユーランと2人で出発。
3日ほど前、初めての1人海外で絶賛ホームシック中の彼女と出会いました(笑)
同い年のひとり旅ということで仲良くなり、しばらく一緒に歩くことに。
(彼女の英語もお世辞にも上手とは言えず、私たちはガッタガタの英語でコミュニケーションとってます。)
朝、ちょっとレオンを観光したこともあってスタートは11時。
なので、次の町までほんの(?)7キロだけ、進むことに。
しかし…
これがいつまで経っても目的の町が見えてこないんですね…
おかしいぞ…もう夕方の6時やぞ…
7時間も歩いてんぞ…
と、かなりの不安を感じながら歩きます。
人間、自分の進んでる道が正しいと信じてる時はがんがん勢いよく進んでいけるもんですが、
「この道…ほんまにあってる…?」
と疑いだすと、途端に歩みが遅くなりますよね〜。
何度も立ち止まりながら、後ろを振り返りながら、他の巡礼者の気配を探しながら、おそるおそる進む私とユーラン。
1人じゃないから大丈夫や!!!
とお互いを励まし合います。
仲間の存在ほど心強いものはありません。
そしてついに、地元人らしいおじいさんを発見!!
私「すいません!!ここどこですか!!」
おじいさん「オルタナティブ・ウェイ」
…お…オルタナティブ・ウェイ…やと…?
そうなんです、なんとよくわからんうちに、正規ルートではない道に迷い込んでいたんですね!!!
おいしっかりしてくれ黄色い矢印!!
君だけが頼りやのに!!
(いやおしゃべりに夢中で見落とした私らが悪いねんけどな)
ということで昨日はやっとのことで見つけた田舎の名前もわからん村に宿泊。
でもすごく素敵なとこやったし、ちゃんと巡礼者用のアルベルゲもありました!
壁にはたくさんの巡礼者たちの言葉が。
(みんなオルタナティブ・ウェイ迷いこみすぎやろ)
2人でレオンのスーパーで買っておいたサラダやフルーツを夕食にし、
夜は私たちしかいない庭で、満天の星空を眺めました。
カップルか。
とってもきれいな朝焼けも見れました。
しかし、
回り道も悪くないよね〜。
なんて仲良く言い合ってられたのもここまで。
今日は、正規ルートに戻るべく歩き始めたのですが…
どこ歩いてんねんこれ!!!!
という道が続きます。(笑)
ひたすら続くコーン畑。
ひたすら続く線路沿い。
もはや未だオルタナティブ・ウェイなのか、もう正規ルートに戻っているのかもわからない私たち。
矢印が全然見つからず焦る私たち。
計画した街にたどり着けない私たち。
2人だから大丈夫だよ!を繰り返す私たち…
そして午後5時30分、結局本日も目的の町アストルガにはたどり着けず(笑)
さびれた感じのホステルに宿泊することに。巡礼者用2段ベッドが1泊6ユーロや。(750円ぐらい)
ホステルはガラガラでしたが、部屋に入ると、なんと私の大好きなスペイン人のおばちゃん、ロサマリアが!!
数日前に少し一緒に歩いて以来の、偶然の再会をはたしました。(宿泊客はなんと彼女と私たちのみ!)
スーパーもない町だけど、ユーランとロサマリアの3人でホステルのレストランで夕食をとり、尽きることなく色んな話をして笑いました。何一つ予定通りに行ってないけど、幸せな夜でした。
さてさて、昨日今日と50キロほど歩いてようやくオリジナルルートに戻ってこれたようです!
(どのタイミングで戻って来たのかは不明)
アストルガはもう目の前!!
明日もキープマイペースで頑張るで。
20日目、欲望渦巻くレオン
つ〜い〜に〜
レオンについたああああ!!!!!
ふぅううううう!!!!
レオンを代表する大聖堂を目の前にしたときの感動と言ったら…(涙)
ようやくたどり着いたでビッグシティ!!!!
と、めちゃくちゃ盛り上がってますが、まだまだ旅の途中でした(笑)
でも、知らん間に残り半分を切ってます!!
情報が不足しすぎて、あと何キロ歩けばいいのか全くわかってないけど!!!
なんと、ブルゴスに続きレオンでもタイミングよくフェスティバルに遭遇。
たいへんな人混みです。大通りだけでなく、小さな裏路地にまで屋台が並び、すごい活気!
やっぱりステキやわ、スペインのフェスティバル!!
さてさて私たち巡礼者も、洗濯とシャワーを済ませたら街に繰り出しますよ〜。
ず〜っと何もない田舎道を歩いてきた我らにとって、この活気溢れるたべものの屋台たちほど魅力的なものはありません。
なんておいしそうなお肉なのかしら!!
もはや私に"巡礼者"なんて神聖な表現はまったく似合いません。
欲望の化身です。食欲の権化です。
ということで、本日の宿で一緒になった仲間たちと、何軒も屋台をハシゴし、飲んで食べて踊って、大変盛り上がる夜となりました。
あ〜幸せ。
さてさて話は変わりますが、アルベルゲには放出品箱というのがあります。巡礼中、必要なくなったもの、重くてもう持っていけないものを置いていく箱ですね。(反対に必要なものは、そこから頂くこともできます。)
今日のアルベルゲの放出品箱には、いらなくなった"モノ"以外にも色んな"気持ち"が捨ててありました。
箱の上のイラスト付き看板には、
"あなたの重荷になるものは、ここに捨てていきなさい"
...と書いてあります(訳にあんま自信ないけど)
そしてその下の青い文字たちは、巡礼者のいらなくなった、捨てたい気持ちですね。
悲しみ、怒り、罪、イラだち、鬱、限界…
そして、1番大きく書かれた"Miedos"とは、"恐れ"です。
日の出前の暗闇も、ずっと1人の荒野も、ヘビや野犬の潜む森も、恐れずに進まなければならない。
そんな巡礼者の気持ちがすごく感じられました。
私もここで捨てとくわ、恐れ。
残りも僅か…ではないけど、少なくなってきました。
恐れずに、ここから先も進んでいけますように。
いや、進んでいきます。
18・19日目、街を夢みる
最近鏡をみて思い出すのはブラックジャック。何故ならいま私の顔は左右で色が違うからさ!!!
巡礼者は日中、常に同じ方向に向かって歩きますので、必然的に毎日左半身だけ日光直撃です。右腕と左腕、違う人間の腕みたいになってます(笑)
20日近く歩いてきて、今の所一番大きい変化はこれやな。
私は特に、キリスト教に目覚めた!!とか、スピリチュアルな考え方をするようになった!!なんていう内面的変化は感じないんですが、肉体的変化がやばいです。これは確かに、歩き終わったら別人に生まれ変わるというのもうなずけます。見た目が。
出発当時、あんなに重くて辛かったバックパックはもはや友達。難なく担いで歩けるように。
大嫌いで部屋にいるだけでも大騒ぎしてたハエも、いまや足に止まってようが問題なし。
最初の頃はビビりまくってたヘビやネズミも、もはや跨いで歩けるレベルに。
…どんどん野生化してますわ、私。
こんな21歳女子、どうですかね?(笑)
さてさて、このところは黙々と次の都市レオンに向かって歩いてるんですが、噂に聞いてた通り、この区間はほんとにきつい!!
別に厳しい登山ルートがあるとかじゃないんです。
むしろ逆。何もないんです!!!!
休憩できるようなバルどころか、村さえなかなか見つかりません。ネットもなかなかつながりません。(笑)
ただひたすら、広い空と果てしない道があるだけ。
景色がすごく単調で、ひたすら空の変化を観察するだけが楽しみです。
夜明け前
明るくなってきた!
日の出や!!!
あ、曇ってきた!!
あ、また晴れてきた!!
…という感じです。
いや、しんどいわこれ(笑)
ひたすら、レオンに着いたら食べれるであろうllaollaoのアイスクリームや、マクドのハンバーガーや、メルカドーナの美味しいサラダのことなんかを考えて歩きます。
野生化していく体と裏腹に、心は恐ろしいほど街に惹きつけられてます。
あと120キロ…90キロ…60…40…
そしてついに、今日歩いた分で、レオンまで残り18キロ!!!!!
やったーーー!!!明日には街に着くで!!!!
と、ウキウキの夜を過ごしてます今。
ここまで長かった〜!
でもそんなしんどい区間を歩きながらも、いくつか嬉しいこともありました。
道中、フランスで同じ宿に泊まってた女性と再会!ちょっとおしゃべりしたんですが、彼女に、
「あなた、フランスで会った時は毛ほども英語しゃべれなかったのに、随分上手になったわね!!すごい!!」
とお褒めいただいたり、
アルベルゲで開催されたチェス大会で、本場ヨーロッパの紳士達をボコボコにできたり、
ユーランという、とっても面白い韓国人の女の子と仲良くなったり。(彼女も1人で歩いてる)
巡礼路を歩いてると、時間は本当に前にしか流れないのだ、と身をもって実感します。
別れた仲間を懐かしみながらも、新しい仲間と共に歩く。
一瞬一瞬、確実に目的地に近づいてて、後戻りすることは決してない。
常に明日のことを考えて生きてます。
そういう日々を、ここでは過ごすことができます。
ということで明日も歩くで〜。
街で私を待ってるアイスクリームのために。
17日目、心のせまさ
自分でもここまで日記いや、ブログが続いてることにびっくりです。なんせ飽き性なんで。
ひとえにみなさまの応援のおかげ…
と言いたいところなんですが、1日のノルマを歩き終わったらすることなくてめちゃくちゃ暇やから書いてるというのが本音です!!あ、言っちゃった!
あとやっぱり、どこかに記録しておかないとどんどん忘れていくと思うので。
ということで今日も更新するで〜。
現在スペインは夜9時をまわったとこです。
今日はカリオンからの出発。全27キロの行程。
そのうち前半16キロは、村も休憩所もない閑散とした地帯となってまして、
あ〜これはあれやな、1人で色々考えながら黙々と進む道やな、修行やな、
と思ってたんですね。
ところがどっこい
この人の多さよ!!!(いや写真では伝わらんか!)
前後50メートルにスペイン人おじちゃんおばちゃんのグループが大量に。
それがどこまでも続いてます。
これではトイレ(野外)もままならない!!
おいおい昨日まであんなに人おらんかったのに一体どこから出てきたん!?
て感じです。
まぁでも、たくさん人がいると安心するのも事実で、私も目的地に向かって後を追って行きました。
バルもこんなに人がいっぱいです。
遠足かな!!?
しかし、問題は宿やねんな。
これだけ途端に人が増えると、小さな村のアルベルゲには当然収まりきりません。
アルベルゲ受付は長蛇の列です。
私も重いリュックを背負ったまま並びます。
おばちゃんたちは、なんと90人越えのグループ。ツアーみたいなんで来てるんですね。
彼らの手続きを待つこと数十分、ようやく私の番が回ってきました〜。
受付のおばさん 「よかったわね!あなた幸運よ!最後の1つのベッドよ!」
お…おお〜…
よかった…。
幸運にも私は、ぎりぎりでベッドを勝ち取ったようなのですが、私がシャワーを浴びて出てくる頃、アルベルゲ入り口には人だかりが。
受付のおばさん
「ごめんなさいね、今日は団体が入ってるから、もうベッドは残ってないの!次の町へ行ってちょうだい!」
溢れた巡礼者たちは、重いリュックを背に次の町まで4キロ、更に歩かなければなりません。みんな絶望の表情です。
これは、ブルゴスでアルベルゲがいっぱいだった日と同じです。(私も途方に暮れました。)
私たち巡礼者は、基本的に重いリュックを背負い、1日何十キロも自分の足で歩きます。
でも、巡礼路には色んな人達がいて、バスやタクシーを使って巡礼する人もいれば、今日のグループのおばちゃん達のように、リュックのタクシーサービス(荷物を目的地まで車で運んでくれる、ので最小限の荷物で歩ける)を利用する人もいます。
そして、そういう人は必然的に他の巡礼者よりも早く、目的地に着くことができるんですね。
ブルゴスでミケルが言ってた、
「楽して着いた人たちのベッドはあるのに、必死に歩いてやっとの思いで着いた僕たちのベッドがないなんておかしいよ」
という言葉を思い出しました。
そして今日、私もそう思いました。
ブルゴスは大きい街で、他に宿泊施設もあったので、
「まぁええやん!別のところに泊まろうや!」
とポジティブだった私ですが、
今日アルベルゲの入り口で、でっかいリュックを背負って途方に暮れてるお姉さんをみてて、正直、
「自分の荷物も持たずに途中から歩き出して、宿を占領するなんて…どうなん?」
とイライラしてしまいました。(正直ね!)
自分でも、うわ〜こんなことでイライラするなんて心狭いな!とわかってたんですが、どうしようもありません(笑)
部屋に戻ると、私以外はみんなグループのおじちゃんおばちゃん。ワイワイ楽しそう…
そして、唯一の外国人である私に、陽気にしゃべりかけてきます。
どこから来たの?1人?何歳?どこまで行くの?毎日何キロ歩いてる?明日はどの街に泊まる?
日本から。1人。21歳。サンティアゴまで。25キロか30キロぐらい。明日の町はまだ決めてない。
疲れと、ちょっとした苛立ちからそっけなく答えたのですが、おじちゃんたちは構わずしゃべり続けます。
まだ決めてないの?ならこの街がいいよ、オススメだよ。僕たちはカディスから来てるんだ、グループで。今日が初日で1週間だけ。たくさんは歩けないけど、ちょっとずつね。リュックのタクシーサービスがあるから、この歳でも挑戦できるんだ。お互い頑張ろうね。
なんて。
話を聞いてるうちに、
あぁ、私ってほんまになんて心狭いんやろう。小さいことでイライラして。
と思いました。
巡礼路は、誰にでも開かれた道で、だからこそキリスト教徒でない私も歩けてる。
それと同様に、乗り物を使う人がいても、リュックのタクシーサービスを使うグループがあっても、それはそれでいいんやな、それって他の人がとやかく言うことじゃないな、って思いました。
当事者には当事者の事情があるんやから。何も知らない私が、勝手にイライラするのはよくないよな、と気づきました。(当たり前のことやねんけどな!)
重い荷物を背負って、やっとの思いでたどり着いた巡礼者に宿がないのは悲しいことやけど、
だからといってこのおじちゃんたちが、バスを使って巡礼する人たちが、悪いかといったら決してそうじゃない。
歩き方は違うけど、この道に挑戦したいと思ってきてるんやから、それをお互い尊重して、応援しあうべきやな、と。
人の事情ってそれぞれで、他人にはわからないから勝手にイライラしたり、怒ったりしちゃうよね〜。(笑)
そういうの、やめよう!…やめるのは無理でも気をつけよう!
と思う1日なのでした。
もっと器の大きい人間になりた〜い
と思いながら本日の夕日と一枚。
なんかポーズがダサいな!!?